Sponsered link

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

屋外に豊富なバイオレット光が近視を抑制する

 外にいると近視になりにくいというのは研究者の間ではよく知れた事実でしたが、なぜ屋外環境が近視の進行を抑制するのかに関して、そのメカニズムはわかっていませんでした。

 慶応大学医学部眼科教室の坪田一男教授らは、その原因がバイオレット光にあるということを突き止めました。

現代社会に欠如しているバイオレット光が近視進行を抑制していることを発見

2016年に発表された研究結果によると、バイオレット光を浴びたひよこの目に近視進行を抑制するEGR1が上昇したというのです。さらに、そのバイオレット光は、屋外環境には豊富にあるものの、室内にはほとんど存在しないということも判明し、長い間原因不明だった、屋外にいると近視になりにくいという事実を裏付ける結果となりました。

 つまり、屋外にいれば近視の進行が防げるというわけです。

ブルーライトカットが視力を悪化させていた?

 パソコンの画面から発せられるブルーライトは目に疲労を与えるということで、ブルーライトをカットする眼鏡や液晶フィルムなど、様々な製品が発売されています。

 

 パソコンのモニターを見続けていると、確かに目が疲れてくるし、視力も悪くなりそうな気がします。

 ブルーライトは目に負担を与えるだけでなく、不眠症を引き起こしたり、うつ病、肥満、高血圧、糖尿病のリスクを高めるといわれていました。しかし実は、これらに関しては、今のところなんら医学的な根拠はありません。

  それどころか、坪田一男教授のバイオレット光による近視抑制効果の発見によって、ブルーライトカットは、かえって近視進行を進めかねないことが判明したのです。

 というのも、バイオレット光の波長は360-400ナノメートルという非常に短い波長ですが、ブルーライトの波長はすこし長い380-500ナノメートル。このブルーライトの波長は一部バイオレット光と被っています。つまり、ブルーライトをカットすることによって、バイオレット光の一部もカットしてしまっていたのです。 つまり、パソコンやスマートフォンから発せられるブルーライトの中には、近視抑制効果があるバイオレット光も含まれていたのです

 ブルーライトをカットすることは、その効果の医学的根拠はありませんが、ブルーライトをカットしないことによって、バイオレットライトを浴びることに関しては、近視進行の抑制をするという医学的根拠がなされたというわけです。

バイオレット光は目に有害な紫外線でもある

 現在、世界における近視人口は増加し続けていますが、特に日本は、裸眼視力が0.3未満の近視大国だと言われています。よって日本人は特に近視に対して、何らかの対策を講じる必要性があるでしょう。

 よって近視の進行を抑えるバイオレット光を浴び続ければ、近視にならずに済むのではないかと思うかもしれませんが、ことはそう単純ではありません。というのも、バイオレット光は目に有害とされている紫外線、UVAでもあるからです。

紫外線はUV-A、UV-B、UV-Cとありますが、それらの波長は10-400ナノメートル。一方バイオレット光は360-400ナノメートルと、もろに紫外線の波長内にあるわけです。

 

 では紫外線、UVカットをする眼鏡も無意味なのでしょうか?

 目に過度の紫外線を浴びると、目の中の角膜は炎症を起こし、様々な眼病の原因となるため、特に紫外線が強い地域であるオーストラリアでは小学生も紫外線をカットするサングラスの着用が義務付けられていたり、強い紫外線を浴び続ける登山家などはサングラスをかけていないと、ひどい目やにに襲われたり、白内障になったりします。

 外で目に太陽の光を浴びるべきなのか、紫外線カットのサングラスをするべきなのか。いったいどうすればいいのでしょう? 

バイオレット光が効果あるのは子供まで?

 近視抑制効果があるなら、バイオレット光を浴びたいと思うでしょう。しかしながら、バイオレット光を浴びるということは、紫外線を浴びることでもあるのです。

 バイオレット光が近視抑制に効果があるとしても、近視抑制以外の点に関しては、紫外線には目にデメリットをもたらすほうが多いのです。

 ではどうすればいいのでしょう。

 まず、近視の進行は多くの場合、20代までなので、バイオレット光の近視抑制効果のメリットをより多く得ることができるのは、若いうちだということを理解しておきましょう。

 近視というのは、眼軸の調整がうまくいかずに、目のピントが合わない状態のことを言います。この眼軸長は体の成長に合わせて変化し体の成長が止まると、眼軸長もひと段落するので、近視進行、悪化の心配が非常に少なくなるのです。

 つまり、近視進行の恐れが大きい、成長期である20代までの時期は、バイオレット光による近視進行の恩恵をより多く受けれるものの、成長が止まって、眼軸長の変化もひと段落した後は、近視進行も起きにくくなるため、バイオレット光の効果もそれほど受けなくなるというわけです。

 また、極端に紫外線の多い場所であれば、ある程度紫外線を浴びて、目にダメージが及んだとしても、若いうちであれば、そのダメージに対しての回復力を持ち合わせています。

 日本における真夏や高山登山、ビーチなどでない限りは、子供であれば紫外線はそれほど恐れることなく、近視抑制効果を期待して、外で光をたくさん浴びるほうがいいでしょう。

SONY DSC

バイオレット光で視力回復はしない

 もう一つバイオレット光に関して注意したいのが、バイオレット光の効果というのは、あくまでも近視進行を抑制するということであって、視力が回復するわけではないということです。

 バイオレット光の近視抑制効果は、近視が進行しやすい子供のうちに、その効果を発揮するのであって、大人になって成長が止まった後では、バイオレット光の恩恵をほぼ受けることはないでしょう。

 むしろ、バイオレット光は有害な紫外線でもあるために、成長が止まった大人になったのであれば、紫外線としてのバイオレット光を、浴びないようにしたほうが賢明です。

 大人は子供と違い、回復力も落ちてきていますし、目の周りの筋力なども衰えてきているために、近視よりも老眼や白内障などの危険性を考えるほうが重要です。

眼鏡をかけると近視が進む?

 目が悪くなれば、眼鏡をかける、コンタクトをする、というのが常識的に行われています。しかし、今回の坪田一男教授が驚くべき研究結果を発表しました。上記のプレスリリースでも触れられていますが、ヒトの臨床研究からも、メガネを着用している人のほうが近視が進行したといのです。

 となれば、近視の子供には眼鏡をかけさせないほうがいい、と思うかもしれません。

 しかし子供のころから近視の症状が目立ってくる場合のほとんどは、近視の要素は遺伝的なものが大きいので、眼鏡をかけていようがかけていなかろうが、近視はどんどん進むことが多いでしょう。

 またそうした近視の傾向が強い子供の場合、眼鏡をしていないと、ものが見えにくいという日常の生活に支障をきたす場合が多く出てくるため、やはり眼鏡をかけるほうがいいでしょう。

 近視の進行を抑制するというバイオレット光は、屋外には豊富にあるものの、室内ではほとんど存在しない光です。たとえ眼鏡にバイオレット光を透過させない働きがあったとしても、いずれにせよバイオレット光が存在しない室内では、眼鏡をかけていようとかけなかろうと、近視抑制への効果は変わりません。

 屋外に出たときは眼鏡をはずすことで、バイオレット光を目の中に採り入れ、近視抑制の遺伝子の働きを活性化させることができます。

 それ以外の屋内ではそもそもバイオレット光が存在しないため、眼鏡をかけていてもかけていなくても、それほど大差はないというわけです。それであれば、目が見えにくいことのデメリットを考えると、室内では眼鏡をかけたほうが賢明でしょう。

まとめ

 バイオレット光はあくまでも近視の進行を抑制するだけであり、決して視力回復させるわけではありません。またバイオレット光が豊富にある屋外にでるということは、紫外線もたくさん浴びるということになります。

 極端に紫外線が多い時期や場所、真夏のビーチや山頂でない限り、子供であれば紫外線を目に浴びてもダメージに対する回復力があるため、それほど心配しなくてもいいでしょうし、むしろ、屋外にあるバイオレット光の近視抑制効果のメリットを考えたほうがいいでしょう。

 しかしながら、近視進行がとまった大人には、バイオレット光の近視抑制効果のメリットは薄れてきていますので、バイオレット光のことを考えるよりも、紫外線を防止するべきです。

  • +2
  • -0
  • 2 ratings
2 ratingsX
Like! Dislike!
100% 0%

おすすめ記事

コメントを残す