唾液は万能薬か魔法の液体か?
普通の人は、唾液、いわゆる唾液なんて、普段あまり気にしないですよね。あるいは、臭い、汚い、気持ち悪いなんて、あまりいいイメージを持っていないのではないでしょうか?
ところが最近の調査で、唾液には薬や消毒液、サプリメントなんかに匹敵する、あるいはそれ以上にすごい働き、効能、効果があることが次々と判明しています。ここでは、具体的に唾液がどのようなことに役立つのかを、詳細に紹介します。
唾液の働きを知って、ぜひあなたの健康に役立ててください。
創傷は唾液で治る
転んで膝を擦りむいたりした時に、おじいちゃんおばあちゃんに、傷口に唾を付ければ大丈夫なんて言われたことのある人がいるかもしれません。
実は最近の研究では、唾液によって創傷が治ることが明らかになりつつあります。
唾液に傷を治す力があること実証する次のような実験があります。2つのかごを用意し、一方は一匹だけのネズミ、もう一方には数匹のネズミを入れて、ネズミの背中に傷をつけます。一匹の場合は傷口を舐めることはできませんが、もう一方の方は、ネズミが傷がついたネズミ同士で傷口を舐め合うことが出来る状態です。 二日後に傷口の経過を比較すると、一匹だけのネズミの傷の治りは20%であったものの、もう一方のカゴのネズミの傷は75%もふさがっていたといいます。このことから、傷口を舐める、すなわち唾液を傷口に付けることによって傷口が治る効果があることがわかります。
実際唾液を分析すると、消毒する成分と傷口を再生する成分が含まれていることがわかっています。
- リゾチーム 細菌に抵抗する
- ラクトフェリン 細菌の発育を抑制する。(鉄と結合して作用)
- 免疫グロブリンIgA(アイジーエー) 細菌の増殖を抑える
また、上皮を回復・修復・再生し、傷口治す働きのあるグロスファクターと呼ばれる次の成分が含まれています。
- EGF(表皮成長因子) 皮膚,歯,口腔粘膜,胃腸,血管などの細胞の増殖を促進
- NGF(神経成長因子) 神経節や神経線維の成長促進
このように、傷口に唾液を塗ることが、大変有効であることを、わかっていただけたでしょうか。傷口に唾液を付けることで、傷口を素早く治すことができるのです。
虫歯は唾液で予防もできるし治療もできる?
虫歯は唾液で予防できるし虫歯を治すこともできることを知っていましたか?
虫歯の予防
虫歯のそもそもの原因は、食べかすが歯に付着することから始まります。唾液は食べ物が歯に付着することを防いでくれるのみならず、付着した食べかすを洗浄する働きもあります。歯ブラシいらずと言ったら言い過ぎかもしれませんが、歯磨きと同じ働きをしてくれているのです。
それだけではありません。唾液には、口内のphをコントロールする緩衝作用があります。虫歯は口内のphが酸性に傾いた時に進行します。口内の細菌が糖分や炭水化物を分解する時に酸を作り出し、それで歯が溶かされていって虫歯になるのですが、極端な話、口内のphが酸性にならない限り、虫歯にはならないのです。
唾液は口内が酸性に傾いた時に、中和してphを正常に戻す作用があります。食事の際、食べ物を口に含んだ時から、たくさん唾液を出すようにすることで虫歯を予防できるわけです。
虫歯の修復
ここまでは虫歯になる前の予防の段階ですが、さらに虫歯になってしまった後でも、虫歯を修復する機能もあるのです。
唾液の中には歯の成分であるカルシウムやリンが含まれ ています。このカルシウムやリンなどが歯の表面に付着することで、酸によって溶かされたエナメル質を補う作用があります。脱灰を止める働きと、唾液中のカルシウムイオン、リン酸イオンが歯に沈着して再石灰化してくれるのです。
このことからも分かるように、いつ何時も口の中を唾液で満たしておけば、虫歯になることはありません。ただ、睡眠中は、唾液の分泌が少なくなります。就寝前の歯磨きは忘れずに行いましょう。
虫歯予防に関しては次の記事も役に立ちますので、合わせてお読みください。
[blogcard url=”https://kenkou.xyz/1164″]唾液で風邪もエイズも撃退!
唾液で口内が潤っていることによって、口からウィルスなどの病原菌が入ってきた時、まず唾液が病原菌を捕獲し、唾液の抗菌殺菌作用によって病原菌が体に害を及ぼすのをダブルで防いでくれます。
風邪などのウィルスは口や鼻から入ってくると、乾燥したところに定着、繁殖します。唾液で口内が濡れていることで、ウィルスから防御してくれるのです。
唾液には上記でも述べたように、殺菌抗菌作用のある免疫グロブリン、ラクトフェリン、リゾチームなどのが含まれていて、目に見えないミクロの世界で病原菌と戦っているのです。
驚くべきことに、エイズウィルスでさえも撃退するのです。エイズは軽いキスなどの行為では感染しません。なぜならエイズ菌よりも唾液の殺菌力の方が強いからです。唾液中のスリピという物質が、エイズウイルスのリンパ球への感染を抑制する働きを持っているのです。
ガンは唾液で治る
同志社大学の西岡一先生は次のような実験をしました。様々な発がん性物質を、唾液の中に漬けて30秒後に発ガン作用を調査したところ、その作用が顕著に低下したのです。
これは唾液中に含まれている酵素ペルオキシダーゼの働きであると考えられています。
このことからも、同教授は食事の際に、よく噛むことを推奨しています。現代人は食べやすく柔らかくなった加工食品ばかり食べるようになっていることも、がん患者の増加とつながりがあるのかもしれません。

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唾液でご飯が美味しくなる
唾液の効能は虫歯や病気だけではありません。単純に食べ物を美味しくしてくれる働きもあるのです。
食べ物の味を感じ取る舌の「味蕾」という器官が働くには、感じ取る食べ物が水溶液になっていなければなりません。つまり、唾液が食べ物と混ざり、水溶液になることで、初めて味を感じ取ることができるのです。
唾液でやせるダイエットはアミラーゼ効果
ダイエットをするには、そもそも食べないことが一番のダイエットといえます。しかし、人間、全く何も食べないわけにはいけません。その食べる際にあたって、よく噛んで唾液を出すことで、ダイエット効果を高めることができるのです。
唾液には、アミラーゼという消化酵素があり、でんぷんを糖に変えることで、消化器官である胃腸の負担を軽減します。それはつまり、消化酵素の無駄遣いを抑えることにつながります。
御存知の通り、酵素は体内の代謝において大変重要な働きをするので、酵素が不足すると太りやすくなります。
酵素の働きを唾液で助けることによって、体内の代謝もアップし、綺麗に痩せることができます。
また、よく噛む事で食べ物が糖に変わることで血液中の血糖値が早く高まり、満腹中枢に働きかけ、食べ過ぎの防止にも役立ちます。
唾液は今、危機的状況に
これほどまで、すごい効能のある唾液ですが、最近、ドライマウス(口腔乾燥症)といって、唾液が口内に不足し、口の中が乾いてしまう症状が増えつつあるといいます。この原因は、現代人のストレスと、食生活の変化によって、極端に咀嚼の機会が減り、唾液が分泌されなくなったことにあると言われています。
その結果、唾液による殺菌作用やら免疫力も低下し、細菌が増え、病気が増えているのが現状です。
唾液を多く分泌させるのに、一番いい方法は、食事の時に咀嚼の回数を増やすことです。
実に簡単な事ですが、知らないと気が付かないことなんですよね。
あなたも、今日から、食事の際に食べ物を咀嚼する回数を増やし、唾液をたくさん出すことによって、健康体になるかもしれません。ぜひ実践してみてください。
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