オシャレアイテムとしてダイソーでも人気の虫よけリング
最近、虫よけに新しいアイテム、虫よけリングというものが登場し、話題になっています。
虫よけバンドというところもあれば、虫よけブレスというところもありますが、手首に巻き付けるだけで、蚊が寄ってこなくなるというリストバンド状の防虫グッズです。
金鳥、アース製薬など防虫対策で定評のある大手会社からも発売されているのですが、ダイソーを始めとした100均各社からも発売され、大変な人気を呼んでいます。
その理由は、高いファッション性にあります。
レザー風の編みこみブレスレットのようだったり、蛍光色のシリコンバンドのものだったり、あるいはスパイラル状になったものだったりするので、Gショックをはめた腕にも似合うし、普段のアクセサリーのプラスアルファとしても、楽しく装着できます。
虫よけとして以前に、身に付けるのが楽しくなる、そんなブレスレットが、この虫よけリングなのです。
でも本当に虫除け効果なんてあるのでしょうか?
虫よけリングの仕組み
この虫よけリングを装着すると、蚊が寄ってこなくなるという仕組みは、そのリストバンドに、虫除け成分が染み込まされていて、その成分が待機中に放出されることで、虫が寄ってこないというものです。
染み込ませてある虫よけ成分は天然ハーブ、シトロネラオイル、ユーカリオイルといった天然由来のものを使用してあるのも特徴で、虫よけでありながら、体にも優しいというものです。
虫よけというと体に有害なのではないかというイメージがつきまとっていたものですが、この虫よけリングに使用されているものは、天然由来で身につけても安心、さわやかな香りさえするといいます。

広告を見る限り、いいことづく目のようですが、果たして本当に効果があるのでしょうか?
虫よけ効果とはその強い匂い
虫よけリングのパッケージを開封した時に、まず感じるのは、匂いが強いなぁ、ということでしょう。
このニオイのもとが、この有効成分となっている天然オイルです。つまり、この匂いがあるときは蚊よけの効果があるけども、この匂いが消えると共に効果が薄れていくというわけです。
匂いがしなくなった、虫よけリングには、すでに虫除け効果は失われているということです。
匂いの感覚は人それぞれ。この虫よけリングお香りをいい匂いだと感じるのであれば問題ありませんが、もしこの匂いには耐え切らないとなれば、このむしよけリングを使用するのは苦痛でしょう。
※なお現在、ユーカリオイルから虫よけ成分のみを抽出し、ユーカリオイルでありながら無臭だという、無臭ユーカリ精油成分もあります。http://kinousozai.co.jp/insectrepellent.html
効果の範囲は開封直後の無風状態で30cm四方
リストバンドの様に利用する虫よけリングですが、果たしてその効果の範囲はどの程度なのでしょうか?
多くの発売メーカーは、その効果の範囲を明らかにしていませんが、桐灰の「ムシガード虫よけリング」の場合は「1個のリングで半径約30cmの範囲に効果」あるとし、横山製薬の「虫よけリング」だと「虫よけ効果の範囲は半径約40cmです。」としている。
30cmから40cmということは、リストバンドを手首に装着した時、そこから肘くらいまでの長さ。半袖Tシャツを着ていたら、ギリギリ袖の部分は効果がなくなる、そんな有効範囲だ。
しかもそれは、虫よけリングを開封した直後の虫除け効果が一番発揮されている状態のときのことだ。それは当然の事ながら、その場の風向きによっても、その効果は影響を受けてしまう。
屋外にいる時に、無風状態というのはほぼありませんから、バンドから30cmに効果があるとはいえ、風向きによってさらに効果の範囲は狭くなってきます。
虫よけリングの効果の持続時間は怪しい
虫よけリングは、染み込ませたオイルの成分に虫除け効果があります。これはパッケージを開封直後、ドンドン大気に放出され、やがてその成分が放出し終わると、その虫除け効果も終わります。
つまり、効果の強さは、時間が経つに連れて、ドンドンと弱くなっていくわけです。
果たして、その効果持続時間はどのくらいなのでしょうか?
メーカー | 持続時間 | 注釈 | 累計 |
ダイソー | 1か月 | 1日6時間使用 | 180時間 |
横山製薬 | 1か月 | 1日8時間使用 | 240時間 |
桐灰 | 1か月 | 1日8時間使用 | 240時間 |
金鳥 | 12時間 | 12時間 |
金鳥の虫よけリングの場合は12時間だといいますが、その他のメーカーは1か月も効果が持続するといいます。しかしそれにはちょっとしたからくりがあって、1か月効果が持続するというのは、1日6時間、あるいは8時間使用した場合と注釈がつきます。未使用時は密閉容器に保存しなければならないというわけですが、使用、未使用にかかわらず、蚊よけ成分は常に放出を繰り返しているわけですから、1日6時間だけ使用するということで算出される使用時間は、大いに疑問が残ります。
とりあえずメーカーの主張する使用時間を信頼するなら、それでも累計にすると、それぞれ180時間、240時間と、金鳥の蚊よけリングに比べると10倍以上の効果持続時間がるというのです。
シリコンバンドというあの大きさのバンドに染み込ませた天然オイル成分が、一週間以上も効果を伴って放出されるなんてことがあるのでしょうか。
たとえば、世界一強力な虫除け効果があると言われている虫よけ剤であるディートでさえ、日本で使用されている最大濃度を超える20%のものであっても、その効果持続時間は4時間程度という実験結果が出ています。
それが、ディートよりも明らかに効果の薄い天然由来のオイルの成分が、一週間近くその虫除け効果を発揮し続けるというのは、ちょっと信じられません。
この真偽に関しては実際に虫よけリングを装着してみれば、すぐにわかることでしょう。
虫よけとしてはコスパ最悪の虫よけリング
100均と聞いただけで「安い!」と思ってしまいますが、はたして虫よけリングはお得なのでしょうか?
それぞれのメーカーで販売形態がことなるため、バンド一個あたりの金額を算出してみました。
メーカー |
販売価格 | 個数 | 一個あたりの金額 |
ダイソー | 100円 | 1~2個 | 100円 |
横山製薬 | 700円 | 2個 | 350円 |
桐灰 | 780円 | 2個 | 365円 |
金鳥 | 600円 | 30個 | 20円 |
それぞれの効果時間もばらつきがありましたが、金額もかなりバラバラです。
ダイソーの虫よけリングは100円ですが、それが安いのか高いのか、他社の虫よけリングと比較しただけではわかりません。
しかし、虫よけの効果の観点から、この金額を見ると、そのコスパは非常に悪いとしか言いようがありません。
なぜならば、虫よけリングはそれを装着した半径30cm内にしか効果がありませんが、虫よけスプレー出れば、気になるところにひと吹きするだけで、虫除け効果を得ることができます。
虫よけリングの場合、その効果は1か月といいますが、累計200時間ほど。しかもどんどんと虫除け効果は落ちていきます。虫除けスプレーの場合、ひと吹きで数時間ではありますが、また噴射すれば、新たな虫除け効果をえることができます。
そしてそもそも、虫よけリングに使用されている虫よけ成分は天然由来のオイルやハーブだといいますが、これは虫除け効果としては非常に効果が薄いものです。
一方、虫除けスプレーであれば、虫除け効果の高いディートが入ったものを選ぶことができます。
10日ほどで効果がなくなる虫よけリングをする代わりに、その手首の周りに虫除けスプレーを必要なときに吹き付けたほうが、明らかに高い虫除け効果を得ることができますし、経済的でしょう。

大した効果はないけど遊び心で楽しみたい虫よけリング
もし虫よけの目的であれば、虫よけリングの使用はおすすめしません。効果範囲も中途半端、効果持続時間も怪しい、コスパも悪いと、虫よけとしてのメリットを感じません。
虫よけを目的とするのであれば、虫よけリングよりも、虫除けスプレーを一吹きしたほうが、圧倒的に効果があります。
しかし、虫よけは二の次で、夏にちょっとしたオシャレを楽しみたい、そんな人にはうってつけのアイテムといえます。
効果が薄い、限定的、怪しいとはいえ、虫よけとしての効果が全く無いというわけではありません。普段はあまりオシャレやファッションに興味ない人でも、「これは、虫よけのためだから」ということで、大胆な色のバンドを付けることができるわけです。

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100均でも人気の虫よけリングに効果はあるのか?コスパは? https://t.co/GsGBume3Bi
虫除けリングってのは、薬剤と違って子供や犬が舐めたり目を擦ったりしにくいことに意味があるんじゃないかな。