ステロイドの塗り薬を副作用という危険承知で使うために知っておくべきこと

ステロイド薬という名前を聞くと、怖いイメージを持っている人もたくさんいるのではないでしょうか。

 ステロイドは非常に効き目が強く、悩める人にとってはとても頼もしい薬ではあるのです。しかし、効き目が強い反面、副作用も非常に強いので、正しく使うための知識が非常に大切になってきます。

 医師のアドバイスどおりに使っていたつもりでも、副作用に見舞われるということも珍しいことではありません。なぜならば、多くの場合、医師の患者に対する指導や監督は、医師が考えているほど、患者に届いていないからです。

 

健康新聞は、ステロイド薬を安全に使うには、医師の指導だけでは十分ではないと考えます。副作用の強いステロイドを安全に使って、その恩恵を最大限うけるために、ステロイド薬を安全に使うための正しい知識を徹底的にお伝えします。

アトピー等の皮膚病で使うステロイド薬は筋肉増強剤のとは違うのか?

 ステロイドと聞いてすごい筋肉のボディービルダーを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

 これはステロイド注射によって筋肉をつけた女性ボディービルダーです。

 この写真を見て、二つのことが気になることと思います。一つは筋肉の付き方がすごすぎること。もう一つは、女性らしくない顔つき、体つきになっていること。

 これはすべてステロイドの副作用です。実際に、女性ビルダーで、ステロイド注射を服用しつづけ、顔にひげが生えてきてしまった人もいます。

  この写真は同一人物の1993年の姿と2012年の姿です。右側の写真を見る限り、顔からひげも生えていますし、同一人物の女性だと信じることができますか?これでステロイドのすごさがわかったと同時に、ステロイドの怖さも分かったのではないでしょうか。

 そもそもステロイドとは何かというと、正式にはステロイドホルモンというホルモンで、その働き、機能、作用の仕方で様々なステロイドホルモンに分類されます。

 ボディビルダーたちが筋肉増強剤として用いるステロイドは、薬のステロイドと同じ、ステロイド薬で、その働きは、ホルモンの一つの特定の作用をより強力にし、生体エネルギーの働きを助ける方向に作用します。しかしその作用の仕方は全く違うため、結果的に薬のステロイド薬は、免疫細胞の働きを抑制する作用をして炎症を鎮め、一方、筋肉増強剤のステロイドは、筋肉を作るホルモン作用が強化されるため、通常の人よりも異常なまでに筋肉が付きます。

 いずれにせよ特定のホルモンの働きを強化するために、正常なホルモンバランスが大きく崩れます。それが様々な副作用を生み出すことになるのです。

 上記の女性ボディービルダーの場合、ステロイド剤によって筋肉を作る作用が過剰に作用して、筋肉が異常なまでについたと同時に、さらに女性ホルモンのバランスが崩れ、男性ホルモンが作用してしまい、男性のような顔つきになったわけです。

 では、塗り薬のステロイドには、どのような副作用があるのでしょうか?

 正しく知ると怖くなくなるステロイド塗り薬の副作用?

 実は薬のステロイドにもたくさんの種類があります。そしてその種類に応じて副作用の種類や強さも変わってきます。ステロイド薬が筋肉増強剤のステロイドとは違うということはわかっていても、ステロイド薬にもいろいろな種類があることをよくわかっていない人が多く、そのためにステロイド薬の副作用を違うステロイド薬の副作用と混同し、誤解している人も多くいます。

 ステロイドはその効き目が抜群なため、いろいろな薬で使われています。よって、ステロイドをまずどのようなステロイド薬があるのかを、正しく知ることが大切です。だいたい一般的に使われる状況は、皮膚病系、花粉症、眼病系といったところでしょう。

種類 効目 副作用 用途 
外用剤(塗り薬)「ステロイド 塗り薬」の画像検索結果 塗った所に効く 皮膚萎縮
毛細血管拡張
感染症悪化
アトピー
皮膚炎
内服剤(飲み薬)「ステロイド 内服薬」の画像検索結果 全身に効く 高血圧
糖尿病
骨粗鬆症
緑内障
白内障
感染症
アトピー
皮膚炎
花粉症
点眼薬(目薬)「ステロイド 点眼」の画像検索結果 目に効く 眼圧上昇による緑内障 眼病系
点鼻薬・スプレー「ステロイド スプレー」の画像検索結果 鼻血 花粉症
吸入薬
気道 短声がれ
口内乾燥
カンジダ症(口腔・咽頭・喉頭・食道)
咽頭刺激症状
ぜんそくなどの気道の炎症
注射一般 全身(代謝・排泄が早い) 高血圧
糖尿病
骨粗鬆症
緑内障
白内障
感染症
花粉症
アトピー
デポ注射 全身(持続性あり) 注射の副作用がより長引く 花粉症への効果が数週間続く
 

 この表から見てわかるように、ステロイドの副作用は、ステロイドを使用し、作用する場所にあらわれる傾向があります。よって、注射や内服液の場合は、取り込まれたステロイドが血液などを通して全身に回るために、その副作用が全身の規模であらわれるのです。

 逆に言えば、ある一部分だけに塗るステロイドは、その副作用もその部分だけに限定されるのです。そういう意味でも、ステロイド薬でも比較的安全に使用できるのです。

塗り薬のステロイド薬の副作用とその防ぎ方

塗り薬のステロイド薬の副作用についてもっと詳しく見ていきましょう。塗り薬による副作用は主に皮膚萎縮、毛細血管拡張、感染症悪化などです。なぜそのような副作用が起こるのかを原因から見ていきましょう。

1)免疫低下

 ステロイド薬は、ホルモン操作で免疫細胞の働きを一時的に抑制します。それによって皮膚の炎症を抑え、かゆみや痛みを止めるのですが、それと同時に、細菌や真菌(かびの類)の感染に弱くなります。

 よって毛穴の細菌感染症がおこりやすくなるために、ニキビや、かびによる白癬(みずむし、たむし)、カンジダ症などが起こりやすくなります。

 これらは皮膚をきれいにすることはもちろんですが、皮膚を注意深く観察することで発見することのできるものですので、注意観察を怠らないようし、これらの症状が見えた時は一時的にステロイド薬を塗るのを控えて、悪化を防ぎましょう。

2)皮膚萎縮

 ステロイドを塗り続けると、皮膚の表皮が薄くなる=角質層の層が減り、セラミドなどの細胞間脂質の合成が抑制されます。さらに塗り続けていくと、皮膚が薄くなると同時に委縮していきます。

 この症状は、痛みなどを伴うこともなく、軽度の時には、皮膚がきれいになったように見えるため、副作用だと思わない人も多いものです。これらがさらに進んでいくと、表面にちりめん状の細かい皺がよる、下の静脈が透けて見える、つまむと薄い感じがするなどの症状が現れます。塗るのを止めると徐々に回復していきますが、老人では回復が遅い傾向があります。

「皮膚萎縮」の画像検索結果

3)毛細血管拡張や内出血

 長期間ステロイドを塗っていると、血管が透けて見えるようになることがあります。これはその名の通り、毛細血管が拡張することによっておきます。また、毛細血管がもろくなり、内出血を起こしやすくなるために、皮膚全体が赤みを帯びたりすることがあります。

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4)産毛が生える

 ステロイドには男性ホルモンに近い作用があるために、塗った部分の毛が濃くなることがあります。筋肉増強剤のステロイドを飲んでいる女性が男のような顔つきになったりひげが生えてきたりするのもステロイドの副作用ですが、これは塗り薬にも同様の副作用が出ることがあります。

子供や女性など、そもそも男性ホルモンの分泌の少ない人に現れやすいですが、塗るのを止めれば元に戻ります。

5)複合的な副作用

 ステロイドを塗ることで、免疫低下や毛細血管拡張、皮膚萎縮などにより、ニキビがでたり、血管が透けて見えるようになったり、内出血を起こしたりするといった様々な副作用が複合的に起こることで、全体的に赤みを帯びたような外見になることがあります。

 こういう状態は酒さ様皮膚炎と呼ばれています。

 この複合的な副作用は、痛みなどを生じることも多く、悪化もしやすいので、ステロイドの塗り薬を使うのをやめたり、いきなりやめるのが難しかったら、塗る量を減らすなどして、ステロイドによる副作用の進行を抑え、皮膚がより回復するように努めましょう。

 

ステロイドを塗る正しい量と回数を知る

 医師はステロイドの正しい適用量を守れば安全だというかもしれません。しかしその正しい適用量というのも実は非常に複雑なのです。

まずステロイド薬は、薬に応じて、そのステロイドの強さが違います。ステロイドの強さというのは必ずしも、ステロイドの含有量というわけではなく、その強さはステロイドの吸収量に応じてランクが決められています。

つまり、同じ分量であっても薬が変わるとステロイドの強さも変わるため、いつも通りに塗っていたけども、実は塗りすぎていたということになることもあります。

 自分が塗っているステロイドの強さはどの程度なのか、これを正しく把握することが大切です。

 ただ、ここで注意しておきたいのが、実はランクが低くてもステロイドの含有量が多いこともあります。

強さ 商品名 安全性の目安
Strongest
最強
コスベートGクリーム(クロベタゾールプロピオン酸エステル)
デルモベートスカルプローション(クロベタゾールプロピオン酸エステル)
デルモベート軟膏(クロベタゾールプロピオン酸エステル)
ハロベートクリーム(ハロベタゾールプロピオン酸エステル 0.05% w/w)
ハロベート軟膏(ハロベタゾールプロピオン酸エステル 0.05% w/w)
ジフラール軟膏(ジフロラゾン酢酸エステル)
ダイアコート軟膏(酢酸ジフロラゾン)

名前の通り、ステロイドの強さが最上級のものです。これより上のランクはありません。
最も身体に吸収されやすい成分を使用していて、作用が強いため、原則として子供には処方されません。

安全に使用する目安

 四肢・体幹等 →4週間以内
 顔・首・腕等 →2週間以内

使用量

 成人 →5g/日
 小児 →2g/日

Very Strong
とても強い
メサデルム軟膏・クリーム・スカルプ(プロピオン酸デキサメタゾン0.1%)
アンテベート軟膏・クリーム(酢酸プロピオン酸ベタメタゾン0.05%)
パルデン軟膏・クリーム(酪酸ジプロピオン酸ヒドロコルチゾン0.1%)
トプシム軟膏・クリーム(フルオシノニド0.05%)
リンデロンDP軟膏・クリーム・ジェル(ジプロピオン酸ベタメタゾン0.064%)
ネリゾナ軟膏・クリーム・ソリューション(吉草酸ジフルコルトロン0.1%)
マイザー軟膏・クリーム(ジフルプレドナート0.05%)
フルメタ軟膏・クリーム・ローション(フランカルボン酸モメタゾン0.1%)
ビスダーム軟膏・クリーム(アムシノニド0.1%)
ユートロン軟膏・クリーム(吉草酸ジフルコルトロン0.1%)
ハーユロン軟膏・クリーム(酪酸ジプロピオン酸ヒドロコルチゾン0.1%)
ソロミー軟膏(ジフルプレドナート0.05%)
プデゾン軟膏・クリーム(ブデソニド0.05%)
ディプロベートGプラスクリーム
フルメタ軟膏、フルメタクリーム、フルメタローション

ストロングでも効かない場合は、その上のVery Strong(とっても強いランク)が処方されます。
症状に応じて、軽くなったら下のランクに落とすことも意識しましょう。

安全に使用する目安

 四肢・体幹等 →6週間以内
 顔・首・腕等 →3週間以内

使用量

 成人 →10g/日
 小児 →5g/日

Strong
強い
ユーメトン軟膏・クリーム(吉草酸酢酸プレドニゾロン0.3%)
リドメックス軟膏・クリーム・ローション(吉草酸酢酸プレドニゾロン0.3%)
リンデロン軟膏VG・クリーム・ローション(吉草酸ベタメタゾン0.12%)
ベトネベート 軟膏・クリーム(吉草酸ベタメタゾン0.12%)
フルコート 軟・ク・ソリ・ロ(フルオシノロンアセトニド0.025%)
ボアラ軟膏・クリーム (吉草酸デキサメタゾン0.12%)
リンデロンV軟膏・クリーム ・ローション(吉草酸ベタメタゾン0.012%)
プロパデルム 軟膏・クリーム(プロピオン酸ベクロメタゾン0.025%)
ベトノパール軟膏・クリーム (吉草酸ベタメタゾン0.12%)
ザルックス 軟膏・クリーム(吉草酸デキサメタゾン0.12%)
メサデルム軟膏、メサデルムクリーム
エクラー軟膏、エクラークリーム

Medium(中間)で、効果がない場合は、強さが強くなってStrongのランクが処方され始めます。

安全に使用する目安

 四肢・体幹等 →8週間以内
 顔・首・腕等 →4週間以内

使用量

 成人 →20g/日
 小児 →7g/日

Medium
おだやか
キングローン軟膏 (酪酸クロベタゾン0.05%)
アルメタ軟膏 (プロピオン酸アルクロメタゾン)
ロコイド軟膏・クリーム (酪酸ヒドロコルチゾン)
パルデス軟膏 (酪酸クロベタゾン0.05%)  
キンダベート軟膏 (酪酸クロベタゾン0.05%)
プランコール軟膏 ・クリーム (日局酪酸ヒドロコルチゾン)
レダコート軟膏・クリーム (トリアムシノロンアセトニド)
リドメックス軟膏、リドメックスクリーム、リドメックスローション
ケナコルトA軟膏、ケナコルトAクリーム
このランクが、使用される一番弱いタイプとされます。
子供のアトピー性皮膚炎や、軽いアトピー性皮膚炎、顔などによく使われます。
Week
弱い
プレドニゾロン軟膏 (酢酸プレドニゾロン)
ネオメドロールEE軟膏 (硫酸フラジオマイシン)
プレドニン軟膏 (酢酸プレドニゾロン)
コルテス軟膏・クリーム (酢酸ヒドロコルチゾン1.0%)
オイラックスH軟膏(ファーマ クロタミトン・ヒドロコルチゾン)
テラ・コートリル軟膏(ヒドロコルチゾン・塩酸オキシテトラサイクリン)
オイラゾンD軟膏

身体に吸収されにくい成分を使用しており、薬を最も吸収しやすい陰部やお尻にも処方される。

非ステロイドの外用剤の代用も考えてもいいでしょう。

 この表を参考に、自分が今使っているステロイド薬の強さを知り、それに応じた適用量を把握してください。

塗る場所によっても違うステロイドの吸収量

 さらにステロイド塗り薬が厄介なのは、塗る場所によってもステロイドの体内への吸収量が変わる点です。場所によって吸収率に10倍の開きが出るので、医師からの指示と、下の図を参考に、自分が塗るべきステロイドの量をより的確に把握しましょう。

 ステロイド塗り薬_-_Google_検索

ステロイド塗り薬で副作用が出てしまう人の共通点

 副作用が出ないようにするための上記のような知識があったとしても、それでも副作用が出てしまうことがあります。というのも、頭の中では適切な量、適切な期間を理解しているつもりでも、実際に皮膚病に苦しめられている人は、そのステロイド薬の効き目の強さに目がくらみ、塗りすぎてしまうのです。

 ステロイドの塗り薬で副作用を起こしてしまうのはだいたい次のようなパターンです。

  • 適切なランクの塗り薬を適切な期間以上にだらだらと塗り続ける
  • かゆみを止めたいために、ついつい塗る回数を増やしてしまった
  • 強いランクの塗り薬を指定されていた場所以外に塗ってしまった

 医者は患者が医者のいった適用量を守っているものだと思うのですが、皮膚病で苦しんでいる患者としては、やはりかゆければ、いたければ、ステロイドについつい頼ってしまう、ついつい塗りすぎてしまうものなのです。

ステロイドは皮膚病のを治さない!

 ステロイド薬を使う際に肝に銘じておいてほしいことは、ステロイド薬は皮膚病を治療することはないということです。ステロイドを塗ると、かゆみや痛みが止まるかもしれません。しかし、それは皮膚病の症状を一時的に静めているだけなのです。症状が静まっているうちに、その皮膚病に対して治療を施さない限り、時間がたてばまたその痛みやかゆみは再発します。

 たとえて言えば、ステロイドは麻酔、あるいは覚せい剤のようなものといえるかもしれません。

 よって、正しいステロイドの使い方とは、完治の見込みのある皮膚炎、皮膚病に対しては有用ですが、治る見通しが立たないようなアトピー皮膚炎などには用いるべきではない、という意見も根強くあります。 

 しかしかゆみを伴うような皮膚炎において、患部をかきむしってさらに症状を悪化させてしまう人も多く、かといってアトピーのような皮膚炎に有効に作用する他の薬がないという状況では、ステロイドの塗り薬の使い方を正しく理解して、症状を患者自らコントロールしていくのが、最善の方法ではないでしょうか。

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